
転職活動において「資格」は有利になる?
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転職活動をするうえで一般的にプラスになるとされている資格には、大きく2種類に分けることができます。ひとつは転職に必須となる資格で医師や公認会計士、弁護士などがこれにあたります。
もうひとつは、必須ではないものの取得することで転職に有利に働きやすい資格です。例えば秘書検定やMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、ファイナンシャルプランナーなどがあげられます。
転職に必須の資格
医師免許や看護師免許など取得していなければ就職できないような資格は、特に高度な専門知識を求められる職業に必要とされています。
そのような専門職への就職を希望する場合、転職活動を始める前にまずは資格の取得をめざすことからはじめましょう。
転職に有利に働く資格
取得していなくても就職することは可能ですが、もっていれば転職が成功しやすいという資格には数多くの種類があります。
ここで大切なことは、なんでもかんでも資格をもっていればよいというわけではなく、希望する職種に役に立つ資格を選択して取得するということです。
転職に必要な資格一覧
まずは転職活動をするうえで有利となる資格について、業界ごとに具体的にみていきます。
医療・福祉関連の職種
高齢化が進み多くの人材が求められている医療・福祉関連の分野には、仕事内容によって転職の際に有利とされる資格がいくつかあります。
(1) 病院・福祉施設相談員[資格:社会福祉士]
病院・福祉施設相談員は、病院や介護施設などで利用者の相談を受け、適切なアドバイスをしたり、悩みを解決するための支援をおこなう仕事です。
この職種に必要とされる資格のひとつが社会福祉士です。他にも精神保健福祉士や社会福祉主事任用資格をとるという方法もあります。
(2) 介護施設専門スタッフ[資格:介護福祉士]
介護福祉士は介護士のスペシャリストとして、介護が必要なお年寄りや障害のある方の日常生活を支える専門スタッフです。
実際に身の回りのお世話をするヘルパーの現場をとりまとめたり、介護者に対して指導をおこなう立場でもあるため、より専門的な知識を求められます。
(3) 福祉用具貸与・販売スタッフ[資格:福祉用具専門相談員]
福祉用具貸与・販売スタッフは身体が不自由なために福祉用品による補助が必要な方に対して、適切な福祉用品を紹介し貸与または販売をする仕事です。
介護保険の指定を受けている福祉用具貸与・販売事業所では、常勤で2名以上の福祉用具専門相談員を配置することが法律で義務付けられています。
建設関連の職種
建設関連の職種のなかでも転職活動で役に立つ資格が複数あります。
(1) ショベルローダー等運転技能者 [資格:ショベルローダー等運転技能者]
工事現場で土砂をトラックに積み込むときに活躍するショベルローダーは特殊自動車で、運転するためにはショベルローダー等運転技能者の資格を取得する必要があります。
最大で35時間の講習を受けたのち、修了試験および実技試験に合格すると資格を取得できます。受講資格は18才以上です。
(2) 防災管理者[資格:防災管理者]
防災管理者は、高層の建物や大規模な建物が地震などの災害にあったときに、その被害を軽減するために適切な防災計画を作成し防災管理業務を順序よく遂行する責任者です。
資格は所定の講習を受けることで取得できるほか、消防士として管理的な立場を1年以上経験するなど一定の学識経験者は講習を免除されています。
(3) インテリアコーディネートスタッフ [資格:インテリアコーディネーター]
インテリアコーディネーターは、インテリアの配置や商品の選択など快適な住空間をつくりあげるために専門的な知識でアドバイスをする仕事です。
住宅メーカーをはじめ設計事務所やリフォーム会社、インテリアショップ、不動産会社など活躍の場が広いことが特徴的で、転職活動にも役に立ちます。
法律・教育関連の職種
法律・教育関連の資格は社会におけるニーズも高く、転職活動に有利にはたらきます。難易度が高いものが多いため、しっかりと試験対策をおこなったうえで挑戦することが必要です。
(1) 社会保険・賃金に関する人事管理スタッフ [資格・社会保険労務士]
企業の中で主に人事部に関連する仕事として、社会保険や賃金に関する人事管理スタッフがあげられます。そのような仕事に役立つ資格が社会保険労務士です。
人事の部門は業界に関わらずすべての企業に関係する部門ですから、資格を取得することで転職活動の幅を広げることができます。
(2) 重要書類の作成スタッフ [資格:行政書士]
行政書士はたとえば建築業許可申請書など、官公庁に提出する重要な書類を作成したり、賃貸借契約書などの権利義務に関する書類を作成するなどその業務は多岐にわたります。
町の法律家ともよばれる行政書士は、相続に関する書類や成年後見制度関連の書類などあらゆる場面で活躍が期待される資格です。
(3) 法務スタッフ [資格:ビジネス実務法務検定試験]
ビジネスコンプライアンスの重要性が増す中で、企業において重宝されているのが法務スタッフです。ビジネスにおけるコンプライアンスに関連する資格としては、ビジネス実務法務検定試験があげられます。
ビジネス実務法務検定試験には3級から1級まで難易度によって分かれており、一番難しい1級の合格率は約1割です。
栄養・調理関連の職種
食にまつわる栄養・調理関連の職種は特別な受験資格もなく、ハードルの低いものが多いことから時代に関係なく人気のある分野です。
(1) 調理師 [資格:調理師]
調理師免許がなくても調理をする仕事につくことは可能ですが、調理師免許を取得することで手当がプラスされたり、調理師免許をもっている人のみを対象とする求人もあります。
資格をとることで転職のチャンスがひろがります。資格を取得するには、調理師学校を卒業するか、飲食店で実務経験を2年以上積んだうえで調理師試験に合格する必要があります。
(2) ワインソムリエ [資格:ワインエキスパート]
ワインソムリエは、レストランやホテルをはじめワイン専門ショップなどでワインの仕入れ・管理をおこない、お客様の好みに応じながら料理に合うワインを提供する仕事です。
ソムリエの資格試験は2種類ありますが、実務経験がなくても受験できるのがワインエキスパートです。
(3) フードコーディネーター [資格:フードコーディネーター]
フードコーディネーターは、食の世界のクリエーターといわれています。食品会社や飲食店でメニュー開発に携わったり、小売り店の空間コーディネートや食のイベントを企画するなど食のトレンドの最先端で活躍することが可能です。
民間資格であるフードコーディネーターは3級から1級まで3段階に分かれています。
転職が有利になる資格一覧
つづいて、転職活動を有利にすすめるために役立つ資格を職種別にみていきます。
営業職
あらゆる分野・業界で必要とされる花形の営業職。営業職で転職を希望する方に役立つ資格を紹介します。
(1) ビジネスキャリア検定
ビジネスキャリア検定とは、企業内において担当する職務を適切におこなうために必要な専門知識を習得し、それを評価するためにつくられた公的資格試験です。
8つの分野に分かれており、営業職には営業・マーケティング分野が該当します。レベルに応じて3級から1級があり、2級と3級では営業マンとして商談やアフターセールスなどの知識を問われ、1級ではマネジメント能力などより高度な知識を問われます。
(2) リテールマーケティング(販売士)検定
販売士の資格は、販売業に必要とされる接客能力や販売技術をはじめ在庫管理や労務管理にわたるまで幅広い専門知識を習得できる公的資格です。百貨店や大型ショッピングセンター、スーパーマーケットなどで売場責任者として活躍したい方に有利となる資格です。
(3) 中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルト業務において国が公認する唯一の国家資格です。企業の経営戦略をたてたり人事をはじめ財務、法務など求められる知識は多岐にわたります。
このような知識はコンサルト会社に限らず、すべての企業内で役立てることができるため、取得していると転職活動で有利に働きます。
事務職・管理部門職
事務職や管理部門職では職務内容によって求められるスキルは大きく異なります。なかでも人気の高い資格を紹介します。
(1) 秘書検定
秘書検定は社会人の一般常識やマナーを習得することを目的とする民間資格試験です。
資格は3級・2級・準1級・1級の4段階に分類され、企業の社長や役員の秘書をめざす方におすすめの資格です。
(2) TOEIC(トーイック)
TOEICは、多くの大手企業が採用時に参考にしている英語能力をはかる資格試験です。
グローバル化社会において英語が使えることを重視する企業は多数あり、転職活動にはスコア700以上あれば有利とされています。
IT職
さまざまな分野でIT化が進むなかで、需要が多いのがIT職です。IT職への転職活動で役に立つ資格を紹介します。
(1) 基本情報技術者
基本情報技術者は、情報処理に関わる国家試験でIT関連の専門知識や実務に役立つ能力を習得することができる資格です。
特に他職種からITの分野へ転職をめざす方にとって、基本的な知識を持ち合わせているという証明になるため役に立つでしょう。
(2) CADオペレーター(CAD利用技術者試験)
CADオペレーターは建設・機械・自動車などの分野でCADと呼ばれる設計支援ツールを操作し、図面設計に携わる仕事をします。
CAD関係の資格は数種類ありますが、なかでもCAD利用技術者試験は初心者向けの資格でCADの基礎知識を身につけることができます。
技術職
技術職は、特別な専門知識を必要とする仕事も多く、転職には資格が必須条件とされるケースもよくみられます。
(1) 危険物取扱者
危険物取扱者は、甲、乙、丙の3種類があり、資格の種類によって取り扱える危険物が異なります。特にガソリンを取り扱うことが可能となる乙種は、幅広いニーズがあるため転職活動に有利といえます。
(2) 第3種冷凍機械責任者
冷凍機械責任者は冷凍技術に使われる高圧ガスを安全に取り扱うための知識を習得する国家資格です。
]職務に携わることが可能な製造施設の規模によって第一種、第二種、第三種の3種類に分類されます。そのうち第三種は初級レベルで初心者にも挑戦しやすい資格です。
金融関連
金融関連の職種で転職をめざす方に注目されている資格を紹介します。
(1) 税理士
税理士はお金の専門家で、企業や個人事業主などの会計処理の代行や税金関係の申告書類を作成することなどの仕事をおこないます。
税理士は平均年齢が高く、特に若い世代を中心に需要が高まっている職種です。
(2) DCプランナー
DCプランナーは確定拠出年金制度など、年金にまつわる専門知識を習得し、効率的な資産運用などライフプランをたてることを仕事とします。
金融業や保険業はもちろんのこと、一般企業の総務部でも重宝される資格です。
流通・サービス関連
流通・サービス関連の職種で転職する際に必要とされる資格を紹介します。
(1) 旅行業務取扱管理者(総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者)
旅行業務取扱管理者は、旅行業界への転職をめざす方におすすめの国家資格です。
取り扱うことのできる業務が国内のみの国内旅行業務取扱管理者と、海外と国内の両方を取り扱うことのできる総合旅行業務取扱管理者の2種類に分かれています。特別な受験資格もなく、業界未経験者でも資格取得のチャンスがあります。
(2) 通関士
通関士は、貿易業務に携わる仕事で国際物流の申請手続きを担う専門家です。
物流会社だけでなく、海外との取引がある商社や各種メーカーなどさまざまな業種で活躍の場があります。
(3) 登録販売者
登録販売者とは、2009年に新設された比較的新しい公的資格で、ドラッグストアなどで第2類・第3類の一般用薬品を販売することができる専門職です。
年に一回実施される試験に合格したうえで都道府県知事の登録を受けることで登録販売者として仕事をおこなうことができます。受験資格や年齢制限なども特になく、未経験の方にもチャレンジしやすい資格として人気です。